• テキストサイズ

(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第7章 【パンチヒーロー】後編



今ならはっきりと分かる。

あの夜、鬼灯様がどうして
カノジョを抱いたのか
痛いほど、理解できる。

代わりでもいい
忘れる為でいい

それでもいいから──

紗英さんの代わりでも
いいから、だなんて。

「鬼灯様、……私じゃ
…………だめですか?」

最後はほとんど声にならなかった。

言ってしまって直ぐに
差し出がましいことをした、
とひどい後悔に襲われる。

淫らな、尻の軽い女だと
思われてしまっただろうか。

そもそも、ついさっきまで
男に犯されてたくせに・・・

「あ、あの、わ……っ
私ってばなんてこと……
すみません、忘れてくだ」

「忘れてあげません」

「……っ!……鬼灯、様」

狭く、湿度の高い
風呂場の景色が
上下逆さまになった。

重なる熱はどこか懐かしい。

鬼灯様の薄くて、
ちょっと乾燥した唇。

地獄の鬼に似つかわしい
熱く燃えるような舌。

「本当に、抱きますよ……?」

ゆっくりと一度だけ頷くと
降り注いだのは、彼の、
優しくも激しい口付け。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp