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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第7章 【パンチヒーロー】後編



報われない恋を
させてしまったと思う。

けど、これは憐憫じゃない。

この感情はそんな冷たくて
悲しいものなんかじゃ、絶対ない。

「鬼灯様……覚えていますか」

幼い頃、こうして
あなたに何度も
おぶっていただきました。

その背中がとても温かかったこと、
ようやく思い出すことができた。

「ええ、もちろん。……覚えています」

貴女が幼い頃、こうして
何度もおぶって歩いたこと。

私の背を必死に掴む
小さな手が、とても
暖かく心地よかったこと。

「覚えています……それに、
忘れたくありませんでしたから」

溢れ出す。堰を切ったように。

私は、私。

前世の自分が誰を好きだろうが

今尚求めているのが
白澤様だったとしても

それは、カノジョの話。




私は、──鬼灯様に恋をした。




「薺さん……貴女、まさか」

「いえ、取り憑かれてないです。
紗英さん……の思念は、まだ
あそこに留まったままだと思います」

だって、カノジョはまだ
白澤様のことが好きだから。

「はあ、なるほど……しかし
これは何とも稀有な状況ですね」

「どうしたものやら」と
呟いて頬を掻く彼の耳が

照れた桃色に色付いていた。
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