第7章 【パンチヒーロー】後編
霊の類が見えることを
隠していなかった幼い頃、
不気味だと親戚の大人たちに
蔑まれて家中の窓を
割ったことがあった。
「それは妖怪の仕業です」
鬼灯様は淡泊に言う。
友達がうまく作れなくて
放課後の教室でひとり泣いていると、
自分の影が話しかけてきて
お喋りを楽しんだこともある。
「それも妖怪の仕業ですね」
「あの、それ……なんだか
最近流行りのアニメみたい。
鬼灯様ってそう見えて
意外とアニメ好き、とか?」
「好きなのではなく、あのアニメは
地獄が配信しているものなので……
というか、そう見えてってなんですか」
「(マジでか)」
言葉を失う私の脳裏には、
監修・鬼灯(スタジオ閻魔殿)
というエンドロールと
妖怪体操をする鬼灯様の姿が
ぐるぐると駆け巡っていた。
「ヨーデルヨー……」
「そんな鬼灯様はいやです」