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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第6章 【パンチヒーロー】前編



私が、鬼灯様を呼んだ……?

訳知り顔で言う彼を
問いたげな顔で見上げる。

その時だった。

「う、う……痛ってえ」

未だ下半身を晒したままだった
男が、のろのろと起き上がり
直後に私を抱く鬼灯様を見る。

一拍
二拍

鬼灯様の鼓動が、やけに
大きく聞こえた気がして

その、刹那。

「ヒッ…………!」

男が思わず漏らしたのは悲鳴。

鬼の放つ禍々しいまでの
殺気に充てられて、
惨めにも失禁している。

男の粗相を気にかけることもなく
ユラリ、鬼灯様が立ち上がった。

その横顔に浮かぶのは
【無】際限のない闇

ただただ深い漆黒が
そこには広がっている。

「愚かしい人間よ……聞け」

錯覚だろうか。あるいは。

男の喉を引っ掴む鬼灯様の
周囲が、空間が、歪んで見える。

「私はお前を殺しはしない。
だが……その死を怯えて待て。
地獄の沙汰は、私が直々に下す」


死ぬより辛い苦しみを
お前は知っているか?


そう言い放つ鬼灯様の声は、
どこまでも低く冷徹だった。
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