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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第6章 【パンチヒーロー】前編



「さて……では行きましょうか」

慌てて逃げ出していった
男が去った方角を見やって、
鬼灯様は優しい声を出した。

まるで別人だ。

さっきまでの彼は──
いや、きっとあれが
本来の彼なのだろうけど。

「……と言っても、そのまま
ご自宅に帰す訳にもいきませんね」

困ったように首を傾げる彼。

その視線の先を追うと、
見下ろした先には
血と泥で汚れた私。

ニットセーターはそこら中が
解れていて、ひどい有様だ。

これでは親が卒倒してしまう。

「来てみますか?」

「へ……?」

「私の家へ。地獄ですが」

ちょうど、今から
帰るところでしたし
嫌なら無理にとは。

そう付け加えた鬼灯様は
鬼装束の懐から、
小さなライターを取り出した。





【六ノ章】
パンチヒーロー前編___終
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