第2章 再会を祝して痴話喧嘩
薺は怪訝な顔をして言う。
「貴方達どうやって私の
部屋に入ってきたんですか?
警察呼びますよ、マジで」
施錠しておいたはずの自室。
明らかに人間ではない男達は、
現れるなり意味不明なことを
口走って彼女を困らせていた。
「マジとか、そんな現代っぽい
言葉を使うのはおやめなさい!
貴女はもっとこう……
淑やかな人なんですよ」
「うわっ、いやだねえ!
やだやだ。これだからお堅い
鬼さんは嫌なんだよ朴念仁。
僕はそんな君も素敵だと思う」
漆黒の着物に散切り頭
鋭い目付きに、光る牙。
純白の割烹着に甘い声
和かな笑みに、紅目尻。
夢で何度も見た男達は
ググッと眉間に皺を寄せて
互いにガンを飛ばし合った。