第4章 鏡ノ塔
「お腹すいた」
「…………は?」
「ご飯食べたいです」
「え、いや……じゃあ、
何か食べに行きます?」
完全に斜め上の発言を
繰り出してきた薺に、
地獄の鬼が面食らっていた。
さすがは紗英の魂の
持ち主というか、
肝が座っているというか。
あれだけことの次第を
知りたがっていた薺が
何も聞いてこない事に、
鬼灯は訝しげな表情になる。
「ハンバーグがいいです」
「ああ……そうですか」
「パフェも食べたい」
「ええ……別にいいですけど」
明らかに様子のおかしい薺に、
勘の鋭い鬼灯は「まさか……」と
前置きしてからこう言った。
「全部思い出したんですか?」
鬼灯にずばり指摘された薺は
途端に動きを止めて赤面する。
紗英の思念を取りこんで
前世の記憶をすべて
取り戻した薺は、要するに。
「私とセッ
「セクハラですよ加々知さん?!!」
……思い出したんですね」