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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第4章 鏡ノ塔



「すみません。ちょっと
一気に喋りすぎましたね。
混乱、してるんです、私」

鬼灯は額に手を当てて、
その視線を地面に落とす。

一度は身体を交わした
紗英の気持ちが、
未だ白澤にあること。

彼女の唯一残した未練が
よりによって自分ではなく、
白澤の力で具現化したこと。

率直に言えば悔しかった。

自ら身を引くような真似をしたのに、
実際に紗英を目の前にすれば
気持ちに歯止めが効かなくなる。

具現化してしまった
紗英の未練を、今すぐにでも
成仏させなきゃいけないのに。

「やっぱり、出来ませんよ。
…………私にはできない」

鬼灯の逞しい腕が
薺の身体ごと
紗英を抱き締める。


「……会いたかった」


小さく囁いた鬼灯の声が
風にのって墓場に溶けた。
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