第4章 鏡ノ塔
紗英の残した強い未練と
白澤の持つ強大な神の力。
それらは合わさって具現化し、やがて
薺にも影響を与えはじめたのである。
「薺さんに前世の記憶を
見せるのは結構ですよ。……でも、
取り憑こうとしちゃ駄目でしょう」
「……ごめ、んなさい」
「謝る必要はありません。
転生した貴女に会った時から
薄々気付いてましたし、
私個人としてはむしろ
取り憑いてもらっても構いません。
紗英さんとまたこうして
話が出来るなんて奇跡に近い」
「…………」
「でも……薺さん自身のことや、
そのご両親のことを考えると
やはり黙っている訳には
いかなかったので……だから、
こうして会いにきました」
鬼灯はそこまで言って
一旦言葉を切ると、
今度は短く息を吐いた。