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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第4章 鏡ノ塔



ツアトに引き摺り込まれた際、

その存在が消滅してしまう前にと
緊急に転生の処置をした紗英。

彼女の魂は薺として無事に
生まれ変わったのだが、
思念はまた別の話である。

人の抱く強い想い──

恨み
執着
愛情

故人の残した強い想いは
時として、肉体が朽ちても
現世に留まることがある。

地縛霊といえば聞き覚えが
ある人もいるだろうか。

紗英が唯一残したのは
紗英で在りたいという

【未練】

それが現世の、しかも
彼女の墓があるここに
留まってしまったのは・・・

「まだ……あいつが
忘れられませんか?」

無表情で告げる鬼灯の手には、
紗英の墓に供えてあった
美しい簪(カンザシ)が握られている。

それは定期的に紗英の
墓参りに訪れている
白澤が彼女の為にと、

自らの神気を篭めて作った
供物(おくりもの)だった。
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