• テキストサイズ

(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第4章 鏡ノ塔


.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。

現世日本にありながら、

常世の空気に支配された
小さな墓場に男女が二人。

幼くして亡くなった
子供の魂を慰めるために
建造された、鏡ノ塔。

そこに映るのは
他の誰でもない
紗英の姿だった。

「……鬼灯、さま」

鏡の中で紗英が言うと
現実にいる薺の口が動く。

その妙な現象を前にして
鬼灯は一度だけ大きく
そして、深く嘆息した。



「…………紗英さん」



十六年振りの再会。

幾千幾万の刻を過ごしてきた
鬼灯だが、これほどまでに
刻の流れが遅いと感じた事は

なかったという。

「やっぱり思った通りでしたか」

鬼灯はまるでガラス細工に
触れるかのように、震える
指先で薺の頬をそっと撫でた。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp