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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第4章 鏡ノ塔



その妖気に当てられたのか、
気付けば墓場の樹々はざわつき
無数の人魂が飛び交っている。

「あの……今は、鬼灯さんですよね」

「え?……ああ、そうですね。
薬を飲み直すまでは鬼灯です」

他愛ない言葉を交わしながら
上品な手付きで線香に火を灯す。

そんな彼の横顔は
睫毛が長くて、どこか儚げで
なんとなく見とれてしまった。

その時だ。

ゾワ……ッ

背筋を妙な感覚が駆け抜けて
私は咄嗟に後ろを振り向いた。

何もいない。

気のせいか──首を傾げて
墓石に向き直ろうとする。







「…………誰……?」







鏡ノ塔と書かれた慰霊碑に
映り込んだ女性が、じっと
ワタシのことを見つめていた。
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