第4章 鏡ノ塔
連れ去りと言われても
おかしくないドライブを
始めて、一時間が経った。
目的地はもうすぐそこに
迫っており、辺りには
鬱蒼とした樹々が生い茂っている。
しかし困った。
私は深く息を吐いて、
自分の左側を見やった。
「……警戒してたんじゃないのか」
ぼそりと呟くが、
返ってくるのは
か弱い寝息だけ。
高校の制服に身を包んだ
眠り姫は、しばらく
起きそうにもないらしい。
全くけしからん短さの
スカートから覗く太腿。
寝たことで若干開いてしまった
両脚が、その色香を
より際立てている。
「(勘弁してくれ……)」
最近、というか貴女が
あの世を去ってから
女なんて抱いてないんですから。
血液の集まりだした自身に
今一度大きく息を吐いて、
少し強めにハンドルを握り直した。