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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第4章 鏡ノ塔



「薺さん。ちょっと宜しいですか」

私が声を掛けると、
ふたつの瞳がクルリと振り向く。

「何ですか?」

小粋な抜き襟や
艶やかな簪(カンザシ)

地獄にいた頃の面影は
今の彼女にはないけれど、

コンビニの制服を纏う姿も
「(これはこれで有りだ)」
要は可愛らしかった。

それに何より、彼女の根底は
あの頃と何も変わっていない。

清らかで美しい、彼女の──
紗英の魂の匂いがする。

「少し付き合って欲しいのですが」

「え……付き合うって、どこへ?」

「それは着いてからの
お楽しみということで」

「は、え、ちょっと……!」

コンビニバイト初日を終えて、
訝る彼女を誘い出した先。

そこへ向かうのには少々
抵抗があったが、どうしても、
確かめたいことがある。

困惑顔でいる細い腕を
掴んで、半ば無理やり
夜の現世へと繰り出した。
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