第4章 鏡ノ塔
あれから何度こうして
朝を迎えたことだろう。
無事に人間として
転生出来た彼女を見た時は、
心底嬉しいと思ったものだ。
思い出が消えてしまったのなら
いくらでも作り直そう。
愛を忘れてしまったのなら
何度だって惜しみなく注ごう。
私は決して忘れない。
この身体が朽ちて失くなるまで
貴女だけを想い、貴女を愛したい。
それ程までに愛した少女が、
(即ブン殴りたい部類の)
若者と付き合い始めました。
さて、どうしましょうか。
「……殺す」
浄玻璃鏡を前にして
そう呟いた瞬間が、
至極私的な現世出張を
決断した瞬間でもあった。
職権乱用?
地獄ではこれを
役得と呼びます。