第3章 【今日も日陰で花は咲く】
とある現世
とある国の
とある場所
幾万の生命が
輪廻転生を繰り返す
尊き世界の片隅で、
薺は吃驚仰天していた。
大事件である。
「な……え、なんで、
あなたがここに……?」
開いた口が塞がらない。
落ちた顎が、そのまま
取れてしまいそうなほどに。
愕然とする薺の眼には、
とある冷血漢の姿が
くっきりと映っていた。
「おや、こんな所で
会うとは奇遇ですね」
しれっと小首を傾げる男。
先刻に見た一本角や尖った耳は
ないけれど、そこにいるのは
紛れもなく鬼灯その人であった。