第13章 雑草ノ花
ここへ来るのは
何年振りだろうか。
まだあどけない少女だった
貴女を連れてきたのが、
随分と昔のことに感じる。
数十年振りに見る
紗英の墓前は───
それはそれは見事な
沈丁花と鬼灯で飾られていた。
「なかなか良い趣味ですね。
……淫獣にしてはですけど」
「お前も大概素直じゃないな」
「本当に相変わらずですねぇ」
他愛ない会話に
花を咲かせて、
その幸せに足りない
大事な人を思った刹那
サア、と爽やかな風。
「……紗英、さん?」
薺の声に弾かれたように
白澤も、私も、
鏡ノ塔を振り返った。