第13章 雑草ノ花
「孤児院で働いていたんですね」
「ええ……優しい子供たちに
囲まれて、とても幸せでした」
少しずつ
少しずつ
ベッドに横たわる貴女が
遠く見えなくなっていく。
隣にいる貴女と
ふと目が合って
「手を、繋ぎましょうか」
繋いだ手は皺くちゃで
でも、どうしようもなく
愛おしい温もりだった。
「そろそろでしょうかね」
腰を折った貴女が呟く。
その時だ。
天から、それはまさしく
天から舞い降りてきた。
美しい鬣をなびかせて、
後光すら放ちながら
こちらに駆けてくる。
「……白澤さま!」
「やあ、待った?
……久しぶりだね」
「二分遅刻なので始末書と
それから、減給処分ですね」
「お迎え課の部下と神(ぼく)を
一緒くたにするなっての!!」