第12章 愛するための勇気
「魂を分けるだってェ?
お前、気でも違ったかィ!」
それはこの上なく
愉快そうに、節くれだらけの
手で膝を打って高笑いした。
これも予想通りの反応。
でも、このくらいで
引き下がるなら
最初からここへは来ない。
ぐっ、と爪が白くなるほど
拳を握って深く息を吸った。
「僕は正気だよ。いいから、
黙って言うことを聞け……!」
弱みを見せちゃいけない。
こいつにちょっとでも
隙を見せたら、すべてが
水の泡になってしまう。
だから毅然として、言え。
「堕天した愚かな者よ。
お前は、神々に決して逆らえない。
そういう掟になっているはずだ」
「……あァ、いかにもそうさ」
「だったらさっさと始めろ。
僕は、こう見えて気が短いんだ」