第12章 愛するための勇気
「……無理だねェ。
さすがのアタシでも
魂は分けられないね」
耳を疑う返答に
思わず目眩がした。
「そん、な……の、
ウソに決まってる……!
お前はこの世でもっとも
魂の扱いに長けている筈だ!」
僕は震える声で叫ぶ。
「そのための術(すべ)も、
力も、悪辣な契約の全てを
お前は知っているだろう?!」
最後はほとんど
絶叫してたと思う。
ああ、かっこわるい。
僕はどうしてこう
いまいち決まらないのかな。
好きな女の子が
見てるってのにさ。
「ひえっひえっ……ほゥ、
思った以上に知恵深いね。
しかし……アタシにだって
不可能なことはあるんだェ」
諦めて帰りな
東洋の坊や。
そいつが捨て台詞を
吐いた瞬間、僕は
目の前が真っ暗になって──
「嘘ですね」
精神的な問題とかではなく、
鬼灯(こいつ)が前に
立ったせいで、本当に
目の前が暗くなった。