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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第11章 終わりのはじまり



「ここが……、魔女の谷」

お上りさんよろしく
あちこちを見回して

咄嗟に声を潜めた。

真っ黒な川を照らす
真っ赤なフルムーン

鬱蒼と生い茂る
見たこともない樹々

ひそひそと囁くのは
こちらをじっと見つめる
梟の群れだろうか。

「きたね」
「来たよ」

「なにが?」
「鬼さ」

「もう一匹とひとりは何だい」
「さあね……よく知らないが」

「「うまそうなにおいだ」」

テレビや本で見るような
おとぎの国と、まるで違う。

鬼灯様曰く『冥界との狭間』

歴史の闇に葬られた
時代の亡霊たちが棲まう
ここ魔女の谷は、

どうやら私たちを
歓迎していないらしい。

自然と震えてしまう
私の肩を、鬼灯様の腕が
抱き寄せてくれた。

「大丈夫……私がついてます」

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