第11章 終わりのはじまり
「……あの、話では魔女の谷へ
向かうはずじゃなかったですか」
それがなぜランドへ?
訝って聞くと、
答えをくれたのは
白澤様だった。
「この中に入り口があるんだ」
細くて美しい指が
指し示す先は、やはり
スp……跳ね散らし山。
「そんな、……まさか」
お伽噺じゃないんですから。
そう言って苦笑する私に
今度は鬼灯様が答える。
「私たちはあくまで
架空の存在ですからね。
大部分の人間にとって
その方が都合がいい」
でも、そこのダサい爺が
言うことは事実ですよ。
キャスケットを
目深に被る鬼灯様は、
どこか遠くを見ながら
独り言のように呟く。
その瞳に浮かぶのは
強い決意、それから
ほんの小さな不安だった。