• テキストサイズ

(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第10章 花割烹狐御前



正直ぶったまげた。

何でってそりゃあ、
地獄一の冷血漢で通っとる
旦那が顔を歪ませたからよ。

それも、怒りや
憎しみの類じゃなく

まるでその冷徹な心が
痛くて仕方ないみたいに
つらそうな顔をして。

「以後気をつけます」

「なんでお前が謝るわけ?
……気色悪い真似すんなよ」

白澤の兄さんのそれは、
どうやら分かりにくすぎる
謝罪と感謝だったらしく

「彼女を傷つけてんのは
いつだって僕だ。ごめんね」

わしに頭を下げて
申し訳なさそうに笑う。

わしゃァ、とんだ
勘違いをしてたのかも
しれないのう……。

感情が欠落した鬼と
色狂いの獣だとばかり──

旦那方も、愛のためなら
そんな顔したり必死になったり
わしらと何も変わらんのですね。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp