第10章 花割烹狐御前
と、まあ冗談めかしたが
鬼灯の旦那はどうやら
すべてお見通しらしい。
わしの回りくどい
「そばにいたい」を
見事に一刀両断して
そりゃあもう恐ろしい
能面ヅラでこっちを
睨んでいらっしゃる。
そんな怖い顔せんでも、
あなたからこの子を
奪えるなんざ
端から思うとりませんて。
これでも狐の端くれじゃ
そんくらいの分別はつく。
ただ──
「ただ、もう二度と
この子にこんな悲しい
顔はさせんでください」
ぬおおおい!
わしゃ言うに事欠いて
何を血迷っとるんじゃ?!
なんの事情も知らんくせに
なんつー偉そうなことを!
ああだめだこれは詰んだ。
詰んだというか死んだ
確実に滅される
骨も残さずに消
「すみませんでした」
…………え?