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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第10章 花割烹狐御前



取っ組み合いはやめたが
まだまだ険悪な御人たち。

場の空気に耐えかねて
煙管をぷかぷかり、
吹かせばまっちろい煙が

困ったような顔して
旦那方の間を彷徨う。

かたや、この地獄を裏から
牛耳っ……おまとめになる
鬼神で官吏の旦那様。

対するは、中国は桃源郷
あの世の楽園にゃ欠かせない
聡明で博愛的な神獣様。

こりゃ世の女子(おなご)が
放っとかないわけじゃなァ。

悔しいが納得。

「薺ァ、お前さんもっぺん
ここへ戻ってきたらどうじゃ」

お二方に惚れ込まれとる
お前さんなら、
あっという間に花魁じゃて。

ついつい金の匂いと恋慕に
流されて口走ったもんだから、

薺の返事を聞く前に
(やけにデカい)
伊万里焼の皿が
わしの顔面にめり込んだ。

すこぶる痛かった。
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