第10章 花割烹狐御前
「それで、お前が私の
薺に何したって……?
答えによっちゃ埋めるぞ死ね」
「何答えても殺すつもりだろ!
つーか痛い!潰れる!
もうひとりの僕が潰れる!!」
「潰れろそして死ね」
「ふぎゃあああ!!」
そんなこんなでまあ──
この上なく通常営業の
お二方なわけなんだが。
「まあまあ旦那方、喧嘩は
そのへんでお納めくだせェ」
鬼神と神獣がフルパワーで
暴れたんじゃ、店が
ひっくり返っちまう。
両の手でゴマをすりすり
背中をこれでもかと
丸めて言うと、
ようやく鬼灯の旦那は
白澤の兄さん(の兄さん)を
すり潰そうとするのをやめた。
とりあえずは一件落着
わしゃいつもこんな
役回りじゃ。……寿命が
いくつあっても足りんのう。