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淡い恋心

第16章 強き王・バリー【バリー/N】



バリーペアは今回ガッシュ達の本を燃やさない事を決めた。
グスタフは「バリーが変わるきっかけをくれたから」と見逃したのだ。

「ユウキ、俺達はどうする?」

『私達ももっと強くならないと……バリーにあんな事言われたけど、彼の変わる姿を私も見てみたい。バリーは絶対、この戦いでもっともっと強くなるもの』

バリーペアが去った事で、ユウキペアもガッシュ達を残してその場を去って行った。
悔しがっている二人に、ユウキ達から言葉を掛ける事は出来なかったのだ。

『ありがとう……ガッシュくん、清麿くん』

二人には聞こえていないが、そう言わずには居られなかった。








その日の夜、ユウキは一人ホテルを出て、別の場所へと向かう。
自分の本の持ち主には内緒でリュックには己の本を入れて向かった先は、愛する彼が泊まっているであろうホテル。

魔物の気配を辿れば居場所は何と無く分かるので特定すると、覚悟を決めた様に深呼吸しそっと部屋の中へと入って行くユウキ。

『……バリー』

起こさない様にと彼の眠るベッドに静かに腰を下す。
昼間の戦いが終わったら帰ろうそう思っていたが、このまま帰ったらバリーとの溝はどんどん深くなって行くばかり。

一度は思い留まってくれた彼。
でもやっぱり敵だと認識されてしまった。

『どうしたら良いのかな』

「何がだ?」

『きゃ!?』

自分の本をリュックから取り出して、ボソっと呟いたユウキ。
不意に背後から聞こえた低い声に、盛大にビクゥっと肩を跳ね上げて驚く。
ユウキは恐る恐る後ろを振り返ると、先程まで寝ていたバリーが起きてこちらを向いていた。

『ごめんなさい、起こしちゃった?』

「入って来た時から気付いていた……見逃してやったのに自分からノコノコ来るとはな」

『私は見逃してくれなんて言ってないもの。邪魔なんでしょ?私の事っ……』

「……」

バリーを真っ直ぐ見つめると、ユウキはそう言って彼に自分の本とライターを渡す。
今はお互いに本の持ち主が居ないので、彼女なりに配慮したのだ。

「お前はそれで良いのか?折角、魔界の王を決める戦いに選ばれて、戦う理由が男の為って……オレには理解出来ん」

『私は王様には興味ないよ……けど、王様になったバリーのお妃様にはとても興味があるわよ?』
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