第40章 淡い愛情【黒子/N】
ー後日ー
「黒子、お前どんだけ御守り持つ訳?」
「外さないでいたら流石に怒られました」
「それでも付けてるのな」
~回想~
約束通り悠鬼さんと日曜日にデートをして必勝祈願の御守りを買いましたが、僕は安産祈願の御守りを外さず、そのまま必勝祈願の御守りと一緒にスポーツバッグに付けただけ。
恋愛成就の御守りもあるので三つ付いてます。
それを彼女に見付かり……
『テツくん!何でまだその御守り持ってるの!?必勝祈願の御守り買ったのに!』
「御守りはゴミ箱で捨てたらダメなんですよ?」
『それは知ってるけど、家に置いて来るとか……』
「こういう間違いをする悠鬼さんが可愛いです」
『もう!バカにしてるの!?』
「してません。でも悠鬼さんが僕の為に買ってくれた物ですから、来年の大晦日まで絶対外しません」
『テツくんって結構強情……』
「すみません……来年は一緒に行ってこの御守り達を奉納しに行きましょう」
『……うぅ~……あぁー!』
悠鬼さんが喜びそうな事で誘ったものの彼女はまだ不満そうな顔をしていて、僕がどうしようかと悩んでいると不意に大きな声で横を指差されたので、僕が悠鬼さんから目を逸らした瞬間バッグに手を伸ばされ、慌てて御守りを取られないまいと避ける。
『テツくん!……んぅ!?』
悠鬼さんの両手を掴むと引き寄せて唇を塞ぐ。
今までは軽く触れるキスしかした時ありませんが、この時は少し長めに重ねました。
『んっ……ふぅ……やぁ……』
「はぁ……ダメです。外しません」
『うぅ……じゃ、違うところに付けて!』
「違うところ……携帯とか?」
『やだ!』
「財布?筆箱とか……バッシュ入れとか」
『やだー!』
「どれにも付けられないじゃないですか……あまり我が儘言うとまたキスしますよ?」
『……もう一回して?』
「はいッ」
「ノロけてんじゃねぇよ!黒子のクセに!」
「何で黒子に出来て俺に出来ないんだよー!」
面倒に巻き込まれない様に、僕は再び影を薄めてその場から姿を消す。
お正月明けの時は彼女が幸せなら相手が自分じゃなくても良いと思ってましたが、今は手放さなくて良かったと心から思います。
(僕を好きになってくれてありがとうございます)
Fin.