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淡い恋心

第16章 強き王・バリー【バリー/N】



「ユウキ!呪文をっ!」

『ダメ!バリーに攻撃なんて出来ない!』

スピードもパワーもバリーの方が格段に上。
私はそんな彼の強さに惚れたのだから、戦わなくても力の差は歴然。

避けるのが精一杯のユウキペアは、手を出せないままどうするか思考を巡らせる。

『あれ?……ガッシュくん!?』

「止めるのだ!!」

いつの間にかユウキの腕から抜け出していたガッシュは、ユウキを守るかの様に両腕を広げてバリーの前に立っていた。

「お主!酷いではないか!……戦う気のない者に攻撃する等と!」

「あ゛?戦う気のない奴がここに居ても意味がねぇだろ!弱い奴がいて何になる!」

『黙って聞いて居れば、言ってくれるじゃない。そうね、貴方から見れば私は弱いでしょうよ。……でも雑魚扱いするのはバリーでも許さない!』

愛する人に自尊心を傷付けられれば、流石のユウキも鋭い目付きでギロっと睨み付ける。
パートナーから自分の本を奪うと、堂々とした態度でバリーに近付くユウキ。

「な!?何してんだよ!ユウキ!」

「危ないのだ!」

後ろでガッシュ達が呼び止め様としているが、そんな声も無視してユウキは真っ直ぐバリーと向き合う。
理解出来て居ないバリーペアは、ユウキを内心疑いながら構えたまま動かずに居る。

「……どういうつもりだ?ユウキ」

『はい、どうぞ。私を魔界に帰らせたいならバリーに任せる』

「……」

「「!?」」

『私自身は王様になりたいとは思わない、でもバリーは王様になる為に戦ってるって思ってた……だから私はバリーを王様にする為に戦おうと、今まで戦って来たの』

「……っ……」

「バリーを王にする為にか」

バリーの目の前に自分の本を差し出しながら、ユウキは真っ直ぐ本心を告げる。
彼女の言葉を聞いてバリーの後ろに立っていたグスタフが、フっと笑みを見せながら呟く。

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