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淡い恋心

第16章 強き王・バリー【バリー/N】



『あの、ちょっと良いかな?』

「おぉー!お主!私を助けてくれぇ!」

「ちょっと!人の後ろに隠れるなんて情けないわよ、ガッシュ!」

ユウキが二人の間に入った事で興が冷めてしまった女の子は、呆れた様に溜め息を吐いて足漕ぎの車で帰って行ってしまった。
そしてユウキは改めて金髪の少年と向き合うと、目線を合わせる様にしゃがみ込む。

『貴方、魔物よね?』

「!?……う、うぬ……そうだ!」

『私と貴方は戦わなくちゃいけないの……でも、可愛過ぎ~!』

「うをぉー!」

クリクリの大きい目に見上げられ相手のあまりの可愛さに耐え切れず、ユウキは敵である魔物を思いっ切り抱き締めてしまう。

『私はユウキって言うの!貴方のお名前は?』

「わ、私はガッシュ・ベルなのだ!」

『ガッシュくん……可愛いっ……』

「そんなんで勝ち進んで行けるのかよ?」

『大丈夫よ、油断はしてないか……らっ……』

「ん?」

ユウキが本の持ち主の方を振り向いた時、公園の入口に立つ二つの姿に目を見開いて驚愕してしまう。

「誰なのだ?」

『バリー……』

そう、そこにはユウキがずっと探していた恋人、ヴィンセント・バリーという魔物と本の持ち主が立っていたのだ。

ユウキはガッシュを抱き締める腕に少し力を込め、緊張した面持ちでバリーに近付いて行く。

『ば、バリー!会えて嬉しいわ、私ずっと貴方を探しててっ』

「ユウキか?……オレを探してただと、何故だ?」

『決まってるじゃない!バリーを心配してっ……』

「分かっているのか?……オレとお前は今は敵だと言う事を」

『違う!私はそんな事思ってない!……この戦いには興味がないの!』

「興味がない?……オレの女がそんなに腑抜けだったとはな」

『!?』

「ゾニス!」

バリーの本が光り人間が呪文を唱えた事で、バリーがユウキとガッシュに向けて攻撃をして来る。
喧嘩っぱやいバリーの事なので予想して居なかった訳ではないが、ユウキにとっては自分を信じてくれていないのだと、胸を締め付けられる思いでいっぱいになる。

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