第16章 強き王・バリー【バリー/N】
千年に一度、人間界で行われる魔物同士の戦い。
魔界の王を決める為に、魔物が人間と手を組み魔物同士を倒し合う。
この少女、ユウキも魔物の一人。
彼女の差し出して来た本を手に取り、ペリっとページを開いた少年は視線をユウキへと向ける。
「魔界の王を決める戦い?」
『えぇ、貴方にはその本の文字が読めるのよね?』
「光っているところなら……」
『協力して欲しいの』
「お、俺は……協力しても力になれるか分からないっ。勝てないかも知れないだろ!」
自分の本の持ち主の弱音を聞いたユウキは、イラついた様に奥歯を噛み締めて少年の胸ぐらを掴み、ギロっと睨み上げる。
『やる前から弱気で居たら勝てるものも勝てなくなるじゃない!後悔するならやってから後悔しなさいよ!』
「で、でもユウキ……こんな落ち毀れの俺とじゃ……」
『私のパートナーになったからにはそんな弱音吐かせない。それに私は私自身が王様になる為に戦うんじゃないの』
「え?……じゃあ、何の為に……」
『それは……』
ユウキは少年の家の窓から見える青空に視線を向ける。
少年の目に映る少女の表情は、温かく恋する女の子の様な綺麗な目をしている。
それから少年はユウキの話を真に聞き入れ、この魔物同士の戦いに協力してくれる事になった。
しかしユウキにとって戦いはついで。
彼は自分を味方として受け入れるのか、それとも敵と見做して攻撃して来るか…
愛する彼を探す旅に出る事を決意する。
ー 一ヵ月後 ー
ユウキ達はカナダから日本のモチノキ町という町へ到着した。
数日前に戦った相手から、ここにも魔物がいるという情報を得たのだ。
魔物は魔物同士の気配を感じる事が出来る。
力を使えば更にハッキリと居場所が分かってしまう。
今は使っている気配はないが、ユウキは神経を尖らせて探し回る。
ユウキにとって吉と出るか凶と出るかは分からないが、魔物がいるという情報を聞けば必ずその場に訪れている。
二人はある公園に寄ると、そこでは金髪の小さい男の子が同じくらいの女の子に苛められているのを目にする。