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淡い恋心

第11章 秘密【宍戸/N】



悠鬼もバレない様にと静かにしているが、同じ様に俺を抱き締めて胸に埋まっている。

『亮くん、ドキドキしてるっ』

「当たり前だろ、こんな格好で抱き合って……」

『嬉しい~……興味ないのかなって思ってたから』

「興味なかったら付き合わねぇって……」

跡部が入学した事でテニス部の部室も様変わりし、ロッカーも普通のより一回り広い。
とは言え二人で入るには狭く、悠鬼と密着しないと居られない。

悠鬼は俺と抱き合っているのが嬉しいのか、遠慮なく躰を押し付けて来る。
彼女の柔らかい胸と甘ったるい香りに、俺は理性が飛びそうになるのを必死に堪える。

『触っても良いよ?』

「えっ……っ!?……」

悠鬼の吐息が耳に触れ背伸びをしている事に気付いた俺は、彼女のする事なす事に一々鼓動を高鳴らせてしまう。
そして悠鬼の一言を聞いて顔を見合せると、クリクリの大きい目でじっと俺を見つめている。

俺が言葉を失っている隙に、悠鬼は太股で俺自身をグリっと押し上げる。

「お前っ……止めろよ、気付かれたら……」

『でも亮くんのもう硬くなってるよ?私が触る前から……』

「こ、これは……そのっ……」

『亮くん、可愛いっ……お顔真っ赤っか』

「からかうなよ。俺だって悠鬼が初めてなんだから」

拗ねた様にボソボソ呟く俺を、悠鬼はクスクス可笑しそうに笑う。

クソ!今の俺、スゲー激ダサじゃね?

彼女が誘ってんのに、どうしたら良いのか戸惑ってる。
普通は男がリードするもんだろ。

俺が頭の中で色々考えていると悠鬼は俺から少し躰を離し、俺の片手をそっと掴むと自分の胸に触らせる。

『亮くんとならそう言う事しても良いの……私もしたいもん、亮くんと』

「チッ……人の気も知らねぇで」

まだ中学生の俺が無責任な事は出来ないと、必死に理性と戦って居たのにも関わらず、誘惑する彼女の期待に応えてやろうと、俺はその胸を両手で鷲掴んでやる。

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