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淡い恋心

第38章 恋って難しい【勝呂/N】



燐くんから告白する事になった経緯を聞いたあたしは、この興奮を抑えられず夜になって寮で携帯を手にすると電話を掛ける。

「何や?」

『竜ちゃん、もう帰って来たん?』

「いや、今から寮に帰るけど……」

『せやったらあたしに会いに来てくれへん?』

「あっ?何でや?」

『ちょっとでえぇから~!もうドキドキが止まらへんねんっ……強く抱き締めて欲しいわぁ~』

「ぶはっ!……な、何を言うとるんや!?アホか!」

自分の躰を抱き締めながら甘えた声で態々来る様に頼むと、電話の主である竜ちゃんはあたしの急な要求に吹き出した。
電話越しでも竜ちゃんの慌て様が目に浮かび、もう少しこのやり取りに浸りたいと思えばあたしは会話を続ける。

『今日はドキドキして寝られそうにないねんもん!一度顔見せに来てやぁ~!』

「嫌や!俺は帰って寝たいんや!」

『最近竜ちゃん構ってくれへんから竜ちゃん不足やの~!』

「お前は良うそないな恥ずかしい事言えるな!?」

『あんまり放ったらかしにしとると爆発するで。あたし……』

「……ッ……ホンマに少しやからな」

『竜ちゃん大好き!』

「……クソッ」

悠鬼の爆発するの意味は時と場所を考えず、普段以上にスキンシップが激しくなり我が儘が倍増する事。
猫撫で声で甘えて来たかと思うと最終的には脅しになって来たので、俺は渋々悠鬼に会いに女子寮に向かう事になった。



『竜ちゃん!』

「何やねん、ドキドキして寝られへんって」

『えぇ事があったんやって!』

「えぇ事?」

寮の前で待っていると竜ちゃんが来るのが見えて駆け寄ると、あたしは背中に手を回してぎゅっと抱き締める。
呆れた口調で聞いて来る彼を見上げ、あたしは竜ちゃんが帰った後の出来事を話した。

「奥村が杜山さんに!?」

『そうやの!あの燐くんがやで?凄いやろ~』

「何でお前が自慢気に言うねん」

『まさかあの二人に先越されるなんて思わんかったわ~、あたしも早く言われたいわぁ』

「………やっぱ、俺帰るわ」

こいつが『あたしも~』とか言うてる時はいつも俺を巻き込むから、悠鬼を引き剥がして帰ろうとしたが更に力を込めて引っ付いて来る。
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