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淡い恋心

第38章 恋って難しい【勝呂/N】



燐くんと奥村先生が霧隠先生を連れて青森県から帰って来はった後、雪男が入院したと聞いて候補生皆で見舞いに来た。
竜ちゃんは弟子入りした為師匠に呼ばれて先に帰ってしまい、子猫ちゃんと廉造も面会時間が終わる頃に帰ってしもうた。

「私も燐が好き!!」

『!?』

あたしが神木さん・朴さんとトイレから戻ると、しえみちゃんが燐くん相手にハッキリ告白していたのを耳にし、曲がり角で三人共に息をひそめて会話を盗み聞きする。

「恋愛の好きと友達の好きはどう違うの?どうしたら恋愛の好きなの?」

「よく判んねーけど、お前俺の事嫌いじゃないんならさぁ……つ、付き合おーぜ」

「付き合うって、恋人同士ってことだよね?私と燐はどうなるの?」

「どうって……」

『そんなん決まってるやろぉ~!!』

朴さんが静かにする様に言うて来たけど、二人がじれったくて可愛くて黙って居られなくなったあたしは、燐くんとしえみちゃんの前に現れて二人に近付く。

あたしの登場に顔を真っ赤にして驚愕しとる二人等お構い無しに、あたしはしえみちゃんの手に指を絡めてぎゅっと握り締める。

『こうして手を繋いでデートをしたり!』

「!?」

『抱き締め合ったり!』

「ひゃぁあ!?」

しえみちゃんの躰を目一杯抱き締め……

『キスしたりするんやでぇ?』

「止めろぉー!!」

しえみちゃんの腰に腕を回して頬に触れると、顔を近付けてキスをするフリだけで燐くんは慌ててあたしを止めに来る。
仕方ないと思ってしえみちゃんから手を放すと、あたしは二人をニヤニヤしながら見る。

『恋愛相談ならあたしがいくらでも聞いたるのに、水臭いわぁ!いつの間に告白したん?燐くん!』

「い、いつでも良いだろ!!」

『あたしと竜ちゃんもデートくらいはするけどなぁ~……はぁ~……あたしも早く竜ちゃんに告白されたいわぁ』

「じゃ、俺帰ります……」

『待ちぃ!帰す訳ないやろうがっ。洗いざらい吐いて貰うでぇ?燐くん』

「一番聞かれたくない奴に聞かれたー!!」

初々しい二人に悶えながら羨ましそうにしているあたしの横を通り、燐くんが逃げようとしたので首に片腕を回して彼だけを連れて行き、しえみちゃんは神木さんに連れて行かれた。
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