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淡い恋心

第35章 抑えられない想い【虎太/N】



小さい頃は怒ってても凰壮も照れたりして居たが、年頃になるとただ単に羞恥心しか生まれない。
体育の時間等、他の男子の前で一緒に着替える事は出来ず、態々トイレの個室で着替えているのだ。

凰壮が本気で怒鳴り声を上げるので、悠鬼はビクッと大きく跳ねて涙目で竜持に抱き付く。
そんな相手を見た竜持は、頭を撫でながら凰壮に目で止める様に制する。

「凰壮くん、これが悠鬼さんの愛情表現だと……分からないんですか?」

「分かってるよ!でも……」

「悠鬼さん、貴女の気持ちはとても嬉しいです……でも、もう少し控えてくれませんか?」

『……うん』

「つーか、そういうのは全部虎太にやれよ……ほら、妬いてっから」

「や、妬いてねぇよッ……」

『虎太ちゃん……』

竜持の頼みに渋々でも頷いた悠鬼に、強い口調で言った凰壮は少し罰が悪そうにしていたが、取り敢えず安堵の息を吐く。
しかし、先程まで荷造りをしていた虎太に視線を変えると、長男は竜持に抱き付いている悠鬼を見て羨ましそうにじっと凝視している。

次男と三男は悠鬼に対して特別な感情を抱いて居ないが、普段感情を表に出さない長男は誰が見ても解るくらい悠鬼の事を異性として見ている。

『虎太ちゃん!明日の朝ご飯は虎太ちゃんの好きな物ばかり作るからね?頑張って来て!』

「!!……あぁ」






次の日の朝になって家族の中で一番に早く起きて来た虎太は、キッチンで朝食を作っている悠鬼を目にする。
弁当箱も四人分並んでいて、虎太はやんわり頬を緩める。

暫くの間会えなくなるので、少し二人で居たいなと思ったのだ。

『おはよう!虎太ちゃん!……ちゃんと眠れた?』

「うん、寝れた」

『そう!良かったぁ!』

虎太は悠鬼にそっと近付くと、ほんのり頬を赤く染めながら後ろから抱き締める。

『虎太ちゃん?』

「……っ……少しだけ」

『ふふっ……はい!あ~ん!』

「!?……んッ……あっつ゛ッ!」

『ごめんね!虎太ちゃん!』

虎太が自分から悠鬼に抱き付いて来るのは珍しく、甘えられるのが嬉しいと感じてしまう。

悠鬼は揚げていた唐揚げを虎太に食べさせ様としたが、相手が熱がるのを見て慌ててフーフー息を掛けて冷ます。
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