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淡い恋心

第34章 一途な想い【勝呂/N】



「奥村!……は欠席……と……」

「えっ!?」

「志摩」

「「はい!」」

『ぷはっ!』

「彩條」

『は、はひっ!!』

「魔女の軟膏の章から……志摩くん達読んで下さい」

「はい」

「ってちょっとおかしい!おかしい!!」

焦っている廉造と戸惑っているしえみちゃん以外は皆平然としていて、あたしも竜ちゃん達見たいにリアクションせぇへん様にしとったけど、燐くんの落ち着き様と奥村先生のスルーがオモロくって我慢出来ずに返事が裏返ってしもうた!!

誰もツッコまない事に慌てた廉造が皆にリアクションを求めると、ずっと黙っとった竜ちゃんが般若の形相で廉造の胸倉を掴んで持ち上げる。

「無事やったか……どんだけ……俺達が心配したと思っとるんや!!」

竜ちゃんは廉造を抱き寄せて、そう呟きながら安堵の息を吐いた。
竜ちゃんは優しいから廉造を許す気で居たのに、本音を吐かせると……

「第二次反抗期ってやつです」

「反抗期!?」

「勝呂待て!!まさかお前も死ぬつもりか!?」

「あ゛ァ?誰がこんなカスの為に死ぬか!カスがッ!!」

そんな理由で片付けられて誰も納得なんて出来る訳もなく、廉造の発言は皆の怒りを逆撫でしただけで、竜ちゃんにアッパーを掛けられ神木さんには祓われ、子猫ちゃんには箒で掃かれる始末。

倒れている廉造に近付いたあたしも、自分の指の関節をボキボキ音を立てて折りながら仁王立ちで見下す。

『良かったでぇ廉造~』

「ひぃ!?」

『お前が現れたお陰で燐くんに酷い事せんで良かったわ』

「悠鬼ちゃん!!ま、待ってぇなぁ!!」

『お前見たいなカスが坊を裏切るなんて……百年早いわぁ!!ボケがぁあー!!』

「い゛っ!?……ァぁあああー!!」

廉造を俯せに寝かせて馬乗りになったあたしは、後ろからカスの顎を両手で掴み容赦なく背中を弓の様に逸らしたり、脚も痛む程曲げたりと激痛を与え続けた。
その後も燐くんに服を燃やされてしえみちゃんに殴られ、教室の中は女子と廉造の悲鳴で一時騒然としていた。





『スパイが楽しい?……廉造がそう言うたん?』

「あぁ……こないだ二人で話した」

『ふぅ~ん』

数日後、珍しく竜ちゃんに昼食に誘われて外食し、二人向かい合わせて食べながらそんな話を聞いた。
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