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淡い恋心

第34章 一途な想い【勝呂/N】



『はぁ~』

廉造があたし達を裏切ってから数日、竜ちゃんはずっと考え込んどる。
塾のクラス内も暗くて、あたしもいつもの様に竜ちゃんに絡めない。
ここは宥める言葉の一つや二つ掛けるべきなんやろうけど、そんなん浮かばへんし竜ちゃんには下手な気を遣わせても無意味な気ぃする。

身内の裏切り。
しかも一番身近に居て、一番長く一緒に居た仲なんやで?
あたしだってショックが大きいけど、あんな弱虫な廉造が竜ちゃんを傷付けて悩ませてるんが腹立たしくて仕方あらへんッ!!


「みんな元気やった~?」

「!?」

『!?』

「俺志摩どす。おーきにおーきに」

あたし達が教室で先生が来るのを待っとったら、ピンクのヅラを被った燐くんが似非関西弁を喋りながら入って来た。
何故だか飴を配りながら自分が志摩だと主張しているが、竜ちゃんは見向きもせず飴を取って適当にあしらっただけ。

「奥村、少し静かにしてくれるか?」

「お、俺だって責任感じてんだよぉ!!連れ戻すっつったのにくそぉー!!」

『り、燐くん!気持ちだけでえぇから!』

「教室が暗すぎるだろぉ!?悠鬼だって居心地悪いだろぉ!?」

『せやなぁ……あたしなんて後悔しかしてへんもん。なんも出来へんかったし……』

「悠鬼……」

教室内を明るくしようとしてくれてる燐くんに有り難く思い、俯いて暗い顔をしているあたしに竜ちゃんが少し心配そうな声を掛けてくれた。
があたしは顔を上げると、獲物を狩るハンターの様な重く鋭い視線を向ける。

『あたしの一番の心残りは……最後に廉造にプロレス技を掛けて痛め付けられへんかった事や……』

「!?」

『燐くん、腸煮え繰り返ってしゃあないねん……少しでえぇから付き合うてくれへん?』

「むりむりむりむり!!勝呂ぉ!!止めてくれぇ!!」

「今、そないな気力ないわ」

『あたしが廉造シメる時、竜ちゃんはいつも傍観者や……燐くんがその格好で居る限り、私の怒りは治まらん!!』

「うわぁあー!!」

「呼ばれて飛び出てジャガジャガジャ~ン!志摩さんどすえ~!!」

あたしが廉造に化けてる燐くんをシメ様とジリジリ近寄って行った所で、教室に本物の廉造が現れてその後に奥村先生が教室に入って来た。
奥村先生の登場で興が冷めてしまったあたしは、竜ちゃんの隣の席に座って普段通り出席を取られる。
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