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淡い恋心

第30章 魔王な彼【有利/N】



「悠鬼も凄いよ」

『やっ!……やだっ有利……』

有利は胸を揉んでいた手をピタッと止めてしまい、口を離して悠鬼の耳元に口を寄せるとちょっとした仕返しにと、自分と同じ様に速い相手の鼓動を手の平に感じながら意地悪に囁く。

恥ずかしがったり照れたりする有利に、意地悪しているのはいつも悠鬼の方なのに、有利がこんな事をするのは初めてに等しい。
一気に恥ずかしさを増した悠鬼は耳まで顔を真っ赤に染め、彼の手を掴んで放させ様と試みるが先程よりもグッと少し強めに握られる。

「悠鬼っ……可愛い……」

『やぁ!……有利の方が可愛いのにぃ!』

「そういう事言うともっと意地悪しちゃうよ?」

『いやっ』

「冗談だよ……今は悠鬼と……あ、愛し合いたいからッ!」

「愛し合いたい」と言った時の有利はやはり格好が付かなくなり、カァーっと顔が熱くなるのが分かると悠鬼から視線を反らしてしまう。
自分の上で顔を赤くしている有利の姿は、悠鬼の胸をきゅんと高鳴らせるもので、彼を引き寄せると悠鬼は彼の頭を胸の中にぎゅっと抱き締める。

「悠鬼!?」

『有利からそんな事言って貰えると思わなかった……有利を好きになって本当に良かった』

「うん、俺もだよ。だから悠鬼、どんな事があっても俺を信じて欲しい……俺が好きなのは悠鬼だけなんだから。じゃなきゃ、こんな事出来ないよッ……」

悠鬼の柔らかい胸の中に抱かれた有利は驚いてドキドキと落ち着かずにいるが、そっと上を見上げると彼女は目を細めて愛しそうに自分を見つめ幸せそうに微笑んでいる。
こんなに大人っぽい彼女を見るのは初めてで、この時の有利の目には悠鬼が同い年の女子高校生に見えなかった。



『あっ……ゆぅ……り……』

露になった胸を直に触り顔を近付けた有利は、まだ起ち上がっていない蕾に指と舌を這わせ、お互いに初めてだという事を踏まえて焦らずにゆっくり愛撫を始める。

ここで沢山不安な思いをさせて傷付けた分、これから少しずつ俺の傍で安心させたい。
言葉で伝えるのも大事だけど、悠鬼には態度で示す方が伝わる気がする。

地球での俺も魔王としての俺も、いつか悠鬼に本当の意味で愛して貰いたい。
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