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淡い恋心

第30章 魔王な彼【有利/N】



包み隠さず自分の好きなところを言われた有利は羞恥心でいっぱいになり、悠鬼が掴んでいない方の手で顔を隠しながら嫌がるが、結局は彼女に流されて初めて見た時に言えなかった褒め言葉を告げる。

流石の有利にもこの時ばかりは彼女がキスを求めて来るタイミングが予測出来てしまい、迫って来る相手を手を突っ撥ねて拒む。

『「えっ?」』

「ユーリを誑かすな!」

途中から二人の世界に入っていた悠鬼と有利は、ヴォルフラムによって強引に引き剥がされてしまう。
ヴォルフラムが入って来たところで我に返った有利は、(またやっちまったぁ!!)と家での事を思い出して両手で自分の顔を覆いながら再び自己嫌悪に陥いる。

対して悠鬼は、有利との甘い時間を邪魔された事に不満を感じると、口を尖らせて不服そうな顔をヴォルフラムに向ける。

「ユーリは僕の婚約者だ!お前はさっさと自分の世界に帰れ!」

『婚約を破棄しない限り私は帰らない!有利が好きなのは私だもん!』

「ユーリが好きなのは僕だ!」

『私だよ!』

「僕!」

『私だって!』

そして自宅での光景が勝利からヴォルフラムに変わって、再び有利の取り合いが行われた。

「モテるのは辛いですね、陛下」

「ハハッ、もう慣れたよ……それよりコンラッド、グレタが俺の養女って事は暫く秘密にして?」

「ふっ……はい」

婚約者がいる上にこの年で養女もいる事を教えたら、またややこしくなりそうなので有利は傍でコンラッドにコソコソ頼み込む。
こうやって喧嘩をしている悠鬼を見ると、ヴォルフラムが男という事で恋敵として強く思ってなさそうに見えるので、有利は一応安堵の息を吐く。




「ユーリ陛下に彼女!?」

「あぁ、ユーリと同じ世界から来た子だよ」

「では人間ですか?」

「魔族ではなさそうだけど」

「そうですか……でもそういう方が居ても不思議ではないでしょう。どうせ一時の感情でしょうから」

「いや、そうは見えなかったよ。あんな陛下を見たのは俺も初めてだし」

「あんな?」

悠鬼の事をギュンターに話しに来たコンラッドは、有利を溺愛している彼があまり悠鬼との関係を深く考えて居ない事を不思議に思えば、口元を緩めて先程の初々しい二人を思い出しながらギュンターの言葉を否定する。


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