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淡い恋心

第26章 銀髪の貴公子【イザーク/N】



『何で必ずとか言うの!?何で10点も上げちゃうの!?……イザークのバカぁー!』

「馬鹿は貴様だろうが!何故あんな低い点数が取れるのか、不思議で仕方がない!」

『どうせ頭の出来が違いますよ~』

「開き直るな!……とにかく鞄を持って図書室に来い。個室の102にいるからな……逃げるなよ!」

『逃げないよ!イザークの意地悪ー!』

「何だと!?」

やっぱりイザークが優しいと感じたのは気のせいだと思う!
余計なハードル上げるし嫌味言うし、勉強を見てくれるのは嬉しいけどムカつくから少し悪態を吐きながら走って教室へと向かう。

後ろから「廊下を走るな!」と叫ぶイザークの言葉を、私は無視した。




『……っ……』

教室に鞄を取りに行って、イザークが指定した図書室の個室前に来た私。
先程の事があるので、少々萎縮しながら個室の扉をそっと小さく開けて伺う様に中を覗く。

『?……あれ?』

「お前は何をしているんだ?ユウキ」

『!?……何処行ってたの?イザーク』

「俺も生徒会室に鞄を取りに行ったんだ。さっさと中に入れ」

私はイザークが自分より先に来ているものだと思って居たので、後ろから来た予想外の登場に驚きを隠せなかった。
相手の不思議な行動にあまり気に留めず、イザークは先に個室へと入って行ったので私も後に続く。




「何でこれくらいの問題が解らないんだ!?公式は何処に行った!?」

『うわぁーん!だって解らないもんは解らないんだよー!』

「馬鹿者!貴様は公式自体を理解して居ないだろうが!」

『って言うか……こんなに難しい数学って将来仕事で使わないと思うんだよねぇ……』

「現実逃避をするな……まぁ、どうしてもクルーゼ先生の補修を受けたいと言うのなら止めんがな」

『うぅ……』

これは予想通りイザーク先生とのマンツーマンの授業はスパルタで、先生との頭の出来が違う私に高校の難しい数学が理解出来る筈がない。
イザークが簡単だと思う問題が、私には簡単な問題には思えないのだ。

少女漫画だったら密室で好きな人と二人っきり!ドキドキしちゃう!
とかある筈なのに本当に勉強してるだけで、甘い雰囲気とかナッシング!

高校3年の春休み前の最後の試験!

イザークのお陰で80点以上を取る事になってしまったけど、春休みが潰れるのは絶対イヤ!

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