第24章 歪んだ愛情表現Ⅱ【優一郎/B→N】
「待て!優ちゃんは人間にも吸血鬼にも渡さない!……優ちゃん!僕と逃げよう!」
「ミカっ……」
「貴様はクルル様の犬らしいな」
「…っ…だから何だ?」
「何故クルル様がこんな人間を気に掛けたのかは解らん……ただ日本にいる限り貴様はクルル様から逃げられん」
「そんな事っ」
「貴様等が逃げようものならどちらも私が捕らえ、貴様は私から直々にクルル様の元へ連れて行ってやる」
「……っ……」
「私の目の黒い内は逃げられると思うな」
「ミカちゃん、ここはレンに任せた方が良いと思うよ?……大丈夫、レンが優ちゃんを傷付ける事はないよ(ある意味あるかもね……)」
「……っ……」
レンはミカエラに冷たく鋭い視線を向けて(邪魔をするな)と、自分とフェリド達との境界線を張る。
レンはフェリド側の派閥ではなく彼とは元々気が合わないので、優一郎を捕らえたら直ぐにでもこの場を離れたい。
腰に掛けてある剣の柄に触れるとレンはそれに自分の血を吸わせ、引き抜くと自分と人間達との間合いを一気に詰め寄る。
「優さんは渡しません!」
「彼奴等に苦戦していた貴様等が私に勝てる筈ないだろう」
レンは優一郎を避けて後ろにいるシノア達に刃を向け、大きく重い斬撃を喰らわす。
レンの動きには無駄がなく貴族と言うだけあって、長い金色の髪を振るいながら優美に舞っているかの様。
「レン!止めろー!」
「遅い」
レンの戦い方に怯んでいた優一郎だが、仲間が一人一人倒されて行くのをただ見ているだけ等出来る筈もなく、刀を振り上げてレンへと振り下ろす。
シノア達に気を取られていると思っていたので、レンが瞬時に優一郎の方を向けば剣で刀を受け止める。
「お前が素直に私の元へ戻って来れば済む話だ。私はフェリド達に手を貸す気は更々ないからな」
「えっ……あっ!変なトコ掴むな!変態!」
「フッ……また愛らしい反応をするな、お前は私から逃れる事は絶対に出来ん」
優一郎の両手が塞がっているのを良い事に、不意に彼の股間をぎゅと片手で握るレンは、一瞬で顔を赤らめる姿に興奮してしまう。
早く愛でたいと思えば優一郎の刀を足蹴にして遠方へ吹っ飛ばし、相手の背後に回ると項辺りを手でトンと叩いて気絶させる。
「フェリド、後は貴様の好きにしろ……邪魔をしたな」
「存分に楽しみなよ、レン」