第22章 ちびっ子台風【黄瀬/N】
「やーだー!りかはおにいちゃんといるのー!」
「りかちゃん!お兄ちゃん、困っちゃうわよ!」
「ママ!まいもおにいちゃんほしい!」
「何言ってるの!まい!」
「ハハ……」
「悠鬼!おれがおとなになったら、ぜったいよめにしてやるからな!」
『うん!待ってるね!健くん』
(嫁!?悠鬼!?健くん!?)
子供達のお迎えの時間になり、黄瀬達と仲良くなった子供達はとても駄々を捏ねて、ママ達を困らせながら帰って行った。
一方悠鬼を口説いていた男の子、健くんとの仲が進展していたのに気付くと、いつの間にか名前で呼び合って彼女から嫁にランクアップしていた。
目を見開いて驚愕している黄瀬とは違い、悠鬼はニコニコしながら健くんと指切りまでしている。
そして紫原が近付いて、黄瀬の耳元で……
「黄瀬ちん、ドンマ~イ」
「なっ!?」
「良いじゃねェか、黄瀬にも嫁候補が二人もいんだから」
「良くないっスよ!俺は悠っちがっ」
「じゃあ、悠ちん……」
『ん、何?ムッくん』
「俺とも結婚してくれる~?悠ちんなら大歓迎なんだけど~」
『まあ!?』
「紫原っち!ダメっスよ!悠っちは俺と!……っ……」
『……俺と?』
「……っ……あ、えっと……」
「皆さん、今日はありがとうございました!子供達もとても喜んでいましたよ!」
「こちらこそ」
『ありがとうございました!』
黄瀬に皆で意地悪してると、子供達を全て帰らせた先生が近付いて来る。
一言二言話しをした後、三時のおやつの時に出していたお菓子をお土産に貰い、悠鬼達は幼稚園を去って行く。
「……っ……悠っち!ちょっと良いっスか?」
『何?』
「み、皆は先に帰ってて下さいっス!」
幼稚園を出て直ぐ、黄瀬は悠鬼の手を握って、黒子達と別行動を取る事にする。
「チョー動揺してんな」
「モテんのにね~」
「それだけ本気なんじゃないですか?」
「子供に負けている様では、まだまだなのだよ」