第22章 ちびっ子台風【黄瀬/N】
悠鬼の手を引いて黄瀬が向かったのは、人気のない近所の公園。
悠鬼には訳が分からず、だただた黄瀬に付いて行った。
そして公園の中で立ち止まり、黄瀬は真っ直ぐ悠鬼を見るが、落ち着かず手も少し震えてる。
「悠ッ……俺は彩條 悠鬼さんが好きっス!」
『えっ』
「俺、告白された時はあっても告白した事はなくて……上手く言えないっスけど、でも俺は本気で悠鬼が好きです!」
『……黄瀬くん』
「俺、絶対大事にするっス!だからあんな子供と結婚なんかしないで下さい!」
『ふふっ、黄瀬くんあれ本気にしてたの?』
「し、してないっスけど……悠っちが待ってるなんて言うからッ」
『黄瀬くんが気にしてくれないかなぁって思って……』
「え?」
『私はいつもヤキモチ妬いてるの、黄瀬くんの周りにいる女の子達に……黄瀬くんに恋する子達は皆綺麗だもん!だから少しで良いから黄瀬くんにも、ヤキモチ妬いて貰って私を気にして貰えたらなぁって』
「俺だっていつも妬いてるっスよ!悠っちがバスケ部の皆に笑ってたり、優しくしてると……凄くイヤっス……」
『それはするなって言われても困っちゃうねぇ?』
無茶を言っても仕方がないと分かっていても、嫌なものは嫌なのだ。
悠鬼は黄瀬の胸倉を掴むと、グイっと引き寄せて唇を重ねる。
顔を離すと黄瀬は初めて唇を奪われたかの様に、顔を真っ赤にして口を押える。
『私も好きよ、黄瀬くん!』
「悠っち……俺もっス……」
『ふふっ、初めてじゃないでしょー?』
「そうっスけど、悠っちだから……」
『黄瀬くん、浮気は許さないからね?』
「はい!」
黄瀬は改めて悠鬼に顔を近付けると、触れるだけの優しいキスを交わす。
「悠鬼と付き合ったら、絶対ェ尻に敷かれるよなぁ……」
「目に見えているのだよ」
「黄瀬ちんだから尚更だよねぇ~」
「でも結構お似合いですよ」
「俺、ちょっとホンキだったんだけどなぁ~」
「奪って見ろよ、紫原」
「黄瀬くん、泣きますよ?」
「良いじゃねェか、面白そうだろ?今からでも遅くねェって!」
「うん、頑張ってみる~」
「ダメっスよぉー!」
Fin.