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淡い恋心

第20章 小さな彼女【一角/N】



おやつの時間も済ませ、午後の鍛錬をしに道場へ向かう悠鬼。

『だれか、あいてしてくれる?』

「あの……本当に姐さん何スか?」

『あらぁ……ほかのだれにみえるのかしら?』

「姐さんの隠し子とか!」

「相手誰なんだよ!」

「う~ん、斑目三席とじゃこんな可愛い子産まれねぇって……綾瀬川五席とか?」

『おバカなこといわないのよ!……わたしはいっかくにそっくりな、おとこのこがほしいのよっ』

「馬鹿な事言ってんのはてめぇだろ!」

『……バカなことなの?』

「あ?」

隊士達相手に頬をほんのり赤く染めながら、『一角にそっくりな男の子が欲しい』と言った悠鬼の後ろから、突然ツッコんで来た一角。
確かに今のは冗談で、今直ぐに一角と結婚して子供が欲しい訳ではないが、一角の口から「馬鹿な事」等と言われたら黙って居られず冷たい言い方をする悠鬼。

彼女の顔から一気に笑顔が消えて、真顔で聞き返された一角はビクっと肩を跳ねさせる。

『バカなことをいってしまって、ごめんなさいね……まだらめさんせき』

「……っ……」

「一角、あれ怒っちゃったんじゃないの?直ぐに謝っちゃいなよ」

「俺は別に……」

「一角が言っちゃダメだよねぇ……一生結婚してくれないかもよ?」

「!?……一生って大袈裟だろ」

「今じゃなくても、いつかはって思ってるんでしょ?」

「……」

弓親にそう言われて、小さい躰で隊士達とやり合おうとしている悠鬼を視界に入れる一角。
彼女と目が合えば、あからさまにプイっと顔を背けられてしまう。




道場で鍛錬を済ませた悠鬼は、隊舎の風呂場へと入って行く。
扉には【使用中】という札を掛け、脱衣所で服を脱ぐとバスタオルを躰に巻く。
いつもの大人の躰なら、タオルは胸の上から膝の辺りまで隠れるが、子供の姿だと脛の方まで隠れてしまい大きい。

少し動きずらいが仕方がないと、呆れた様に溜め息を吐くと風呂場の中に入って行く。


『……あら、このシャンプーいいかおり……もう……』

昨日買ったシャンプーを手に取り、良い香りに癒されていると脱衣所に誰かが入って来たのに気付く。

霊圧探索能力はあるので、霊圧で誰が入って来たのか悠鬼には容易に分かってしまうが、ここは無視する事に決める。

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