第18章 初デート【一護/N】
『一護くん……』
「凄ぇ嬉しかったし、悠鬼さんのそういう一面見れて……今は死神じゃなくて俺の彼女だろ?これからも苦手なモンとか、弱いモンとかいっぱい知りたい……」
『や、やだっ……そういうところばかり……』
「悪ぃ、悠鬼さんは怖がってたのに……でも可愛かったし俺にしがみ付いてた間、頼られてるんだなぁって……少し、いや大分浮かれてたっ……」
悠鬼さんの前だとらしくねぇ事ばっかり言ってる俺は、この時も彼女の顔を見られず、肩を抱き締めながら顔を背けて呟く。
それでも彼女が俺の言葉にどういう反応をしているか気になり、横目にそっと映すと頬を真っ赤に染め、戸惑いと驚きを隠せないでいる。
悠鬼さんと恋人になれて嬉しいと思う反面、実際凄ぇ年の差だから子供扱いされたり、ガッカリされてしまうんじゃないかと、この会えない間ずっと不安もあった。
周りも目を惹く程綺麗な彼女は、俺の隣だと初々しく可愛い顔を見せてくれる。
『一護くんもよ?』
「えっ?」
『わ、私だけ見せるのは不公平だもの……一護くんも私に弱いところいっぱい見せて?』
「……っ……い、いっぱいは嫌だな……少しにしてっ『ダーメ!』」
「……」
『……』
悠鬼さんが意地悪な笑顔を見せるから、俺は少し拗ねた顔をしてそれに対抗すると彼女の口を塞いでやる。
一旦、顔を離して見つめ合って微笑み、俺達は迫り来る時間を惜しむかの様に何度も唇を重ね合わせた。
観覧車は五周目に入っていた。
遊園地から空座町に帰って来た俺達は、駅から俺ん家までの道を手を繋いで歩く。
知ってる道を歩き続けていると、別れる時も迫って来るのを実感する。
この手を放したくなくなる。
すると不意に手を引っ張られる。
『一護くん……えっと、公園にでも寄って行かない?もう少し一緒に居たいなぁって思ってるんだけど……』
「……っ……い、行く」
まさか悠鬼さんも俺と離れたくないと思っているとは思わず、断る事等出来る筈もなく俺達は公園に向かった。