第18章 初デート【一護/N】
「結構並んでるな」
『何でこんなに人気なの?……怖がってるんじゃないの?』
「それが良いんじゃねぇの……悠鬼さんは怖いか?」
『ん?……何だか皆楽しそうだから、私も頑張って乗って見る!……折角一護くんとおデートしてるんですものっ』
「気ぃ遣うなよ?……楽しませる為に連れて来たんだから」
『えぇ、十分楽しいわよ?……とっても幸せ!』
「……っ……そういう顔、他の男に見せるなよ?」
『え、どういう顔?』
『とっても幸せ!』と言った時の悠鬼さんは、満面の笑みを見せてくれて本当に可愛くて綺麗だ。
会えない日の方が長いので、こういう顔を見せられると正直不安になる。
いくら力があっても、俺の目の届く所に居てくれなきゃ何の意味もない。
助けられないし、護れない。
情けないけど本気で惚れてるんだ。
やっとの想いで恋人になれたんだ、壊したくねぇし放したくねぇよ。
その不安を悠鬼さんに悟られまいと、俺は平然を装って軽く笑った。
『凄い楽しかったわー!』
「悠鬼さん、何気にあぁいうのには強いのな……」
『えぇ、割りと平気よ?……次は何処に……』
「その前に髪崩れてる……」
『あ、あらっ……ごめんなさい……』
「悪ぃ、折角綺麗にしてるのに……凄ぇ似合ってる、その格好っ……」
『……っ……』
ジェットコースターで、ボサボサになってしまった彼女の髪を触りながら褒めると、一気に顔を真っ赤にして照れてしまい、俺に『ありがとう』と俯いて告げトイレに向かう悠鬼さん。
あんな事言うなんて本当に俺の柄じゃねぇけど、慣れねぇ服着てお洒落して来てくれたんだ、何も言わない訳にいかねぇよな?
戻って来た悠鬼さんと一緒に、他にも色々周り夕方くらいまで遊び続けた。
「悠鬼さん、そんなにお化け屋敷怖かったか?」
『暗い中であんなに驚かして来るんだもの~!』
「まぁ、そういうヤツだし……」
『ダメねぇ、護廷隊の死神がこんなんじゃ……情けない姿をお見せしましたっ……』
観覧車の中で俺の向かいに座る悠鬼さんは、両手で自分の顔を覆って自己嫌悪に浸っている。
(そんなに気にする事か?)と思う俺だが、彼女にもプライドがあるんだろうと思うと、隣に座って抱き締める。