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淡い恋心

第18章 初デート【一護/N】



ーガタン ゴトンー



『ごめんなさい、一護くん……いきなりあんな恥ずかしい事っ……』

「気にすんなって……ちょっと嬉しかったし、本当の事だしな」

現在、電車の中。
人が多くて座れないので、悠鬼さんを扉側にして立たせている。(痴漢防止……ナンパがあるなら痴漢もされそうだ……)

悠鬼さんはさっきの事が頭から離れないのか、いまだに頬を赤く染めて俯いている。

俺の一言に少し驚いた様な顔をするが、直ぐに可愛らしく微笑んでくれる。
逆に今度は俺が恥ずかしくなり、多分赤くなってる顔を背ける。

ーガタンッー

『きゃっ!』

「ぅわっ……大丈夫か?」

『う、うん……ありがとう』

電車が急に揺れて、バランスを崩した悠鬼さんを抱き止める。
密着した躰からお互いの心臓の音が聞こえそうで、ドキドキが止まらない。
(何か俺、少女漫画の相手役の気分……)

内心焦っている俺に追い打ちを掛ける様に、背中に細い腕が回され悠鬼さんが抱き付いて来る。
俺の胸に耳を押し当てて……

『一護くん……凄いドキドキしてるっ……』

「……あっ……いや、これは……」

『良かった、私だけじゃなくて……私も少し緊張してるのよ?……』

「……っ……悠鬼さんッ……」

そう言って恥ずかしそうに俺を見つめて来る彼女が可愛くて、つい公衆の面前で悠鬼さんの柔らかい唇を奪ってしまう。
本当だったら、今直ぐにでも抱きたい。

理性が飛ばない程度に、何度も啄む様に優しい口付けを落とす。

『……ぁ……やっ……人前でなんて……』

「悪ぃ、悠鬼さんがいつにも増して綺麗で……可愛くてっ……」

『……っ……一護くんってそういう事言う人なのねぇ?』

「ッ!?……も、もう言わねぇ」

『ごめんなさい!……ありがとう、一護くん……とっても嬉しい、私こんなにおばさんなのに……』

「……悠鬼さん、またおばさんって言ったら口塞ぐぜ?」

『……っ!?……いちっ……ぁ…』

とか言いながらまた何度も角度を変えて、リップ音を少し響かせながらキスをする。
自分を「おばさん」だと卑下する悠鬼さんに、イラッとしてしまい意地悪をしてやった。

こんなにも俺を夢中にさせる程、綺麗で可愛くて優しい人なんだから、もっと自信を持って欲しい。

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