第18章 初デート【一護/N】
「何だ一護、そんなに気合い入れて何処行くんだ?」
「っ!?……だ、ダチと出掛けんだよ」
鏡の前で身支度を整えて居ると、俺の行動を不思議に思ったのか足元から問い掛けられる。
普段、鏡を見たりしないんだが、何と言っても今日は念願の悠鬼さんとの初デート。
付き合って三ヶ月経つが、住んでる世界が違うので付き合ってると言っても、告白してから俺達は電話しかしていない。
悠鬼さんも頻繁に現世に来れる訳じゃないからな、そこは承知の上で割り切ってる。
困らせたくねぇし。
コンにバレると煩ぇから嘘を吐くが、こういう時だけは勘が良いのか「はっ!!」と何かを思い付いた様な顔をする。
「テメェ!まさか悠鬼姉さんとデートか!?」
「……っ……ち、違ぇって……」
「嘘吐け!だからそんなにめかし込んでんだなァ!?」
「めかし込むとか言うな!!」
「うるせェよ!テメェなんかにちゃんと姉さんをエスコート出来るとは思えねぇ!俺に代われよ!……オメェの躰に入ってデートの後は、悠鬼姉さんとホテルで……ぐふふ……グハッ!!」
こいつが何考えているか手に取る様に分かるので、妄想の途中で打ん殴りトイレの後ろに縛り付ける。
コンが付いて来ない様にすると、悠鬼さんとの待ち合わせ場所へと向かう。
彼奴が変な事言うから浮かれてる自分が恥ずかしくなり、頬が熱くなるのが容易に分かってしまう。
(くそっ!……普通にしてられっかなッ)
悠鬼さんとは駅前で待ち合わせする事にしたので、直ぐにその姿を見付ける事が出来たが、こういう展開を予想してなかった訳じゃねぇよ?
だって俺の彼女は凄ぇ綺麗だもの!(ネル風)そりゃあナンパくらいされるよな。
「お姉さん!一人?」
「何?友達と待ち合わせしてんの?」
「俺達と遊ばない?」
俺くらいの年の男三人に、囲まれている悠鬼さん。
いつもの死魄装の時とは雰囲気がまた違い、品があってふんわりした感じ。
まぁ、目ぇ付けられない訳ねぇよなぁ。
取り敢えず俺は、悠鬼さんを助けに行こうとしたが、先に気付いた彼女が男達の間から抜けて、俺の方に向かって走って来る。
そして俺の腕にそっと抱き付いて、男達の方を向き…
『ごめんなさい!……か、彼氏とデートなんです!』
「……っ……」