第16章 強き王・バリー【バリー/N】
『ガッシュくん!だったら私が残るからっ』
「来るな!それではユウキが……」
『そんな小さい躰で無茶しちゃっ……!?』
ガッシュの代わりに自分が他の人達を助けようと近付くユウキだが、ガッシュは傷付いた躰で強く制する。
こんな所でガッシュを終わらせる訳にはいかないと思ったユウキは、意を決して光線の中に入ろうとした。
しかし太い腕にそれを塞がれたかと思うと、彼はガッシュを助ける様にその大きい躰で光線を防いでしまう。
『「バリー!?」』
「何を!?」
その場にはユウキとグスタフの声が響き、驚きを隠せないでいた。
「あぁ、本当によ……オレは何をやってんだ!?……っ……大きくなったハズなのに、オレの心はこんな小せぇ事を「捨てるな」って叫んでんだよぉ!!」
『バリーっ』
「ガッシュよ……お前何があったか知らんが、「でかく」なってるぜ。……大丈夫、お前ならゼオンを倒せる。だから、ここでお前等を助けるのは躰のでかいオレの役目だ」
バリーならまだまだ勝ち残って行ける。
私はそう思っていた矢先、こんな結末になるとは誰も思って居なかった。
涙で霞む貴方の背中から、私は目を離す事が出来なかった。
「ユウキ、良いのか?」
『うん、私も帰るし……今はグスタフさんと二人にしたい』
「え!?」
『バリーの傍に居たいの、彼が居ないんじゃ居てもしょうがないじゃない』
「そうか」
ユウキの本もバリー同様、サンビームによって燃やされる。
彼が王になれなかったのは残念だが、彼が選んだ結果なら受け入れよう。
だって私の目に映ったバリーは、一番素敵で格好良かったもの。
魔界に帰ったらもっと解り合えて、愛し合えたら素敵ね。