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淡い恋心

第16章 強き王・バリー【バリー/N】



「うをぉぉおー!」

『きゃぁあ!』

無事に中に入れたがバリーの開けた穴は思っていたよりも長く、ユウキペアはバラバラになってしまう。
ユウキは出口が見えた瞬間、目を閉じながら落ちて行く。

来ると思っていた衝撃は来る事なく、ユウキは温もりの中に包まれていた。
そっと瞼を開けるとバリーに抱えられているのが理解出来、一気に頬を赤く染めてしまう。

「目ぇ閉じたままじゃ危ねぇだろ、ユウキ」

『バリー!受け止めてくれたのっ?……ありがとう!素敵~』

あまりの感激にユウキはバリーを抱き締め、頬にちゅっとキスをする。

「貴様等ー!こんな所でまでイチャ付いて、私を無視するなぁ!!」

ユウキとバリーはとても聞き覚えのある声に振り向き、ユウキは彼から下りて敵の魔物を心底嫌そうに見る。

『バカキース、暫く見ない間にまた一段と気持ち悪くなったじゃない』

「何だと!?……ははーん、私の素晴らしいこの姿に僻んでいるんだな!ユウキ!」

「ユウキ、知り合い?」

『うーんとね……魔界にいた頃、バリーにコテンパンにされたバカキース!』

「バカは貴様だろうが!」

『私の前で煙草を吸うなって言ってんでしょ!臭い匂いが付く!』

「後ろの奴だって吸ってるだろうが!」

『グスタフさんは良いの!似合うから!』

「意味が分からんわぁー!」


「バリー、あの二人あんなに仲悪いのか?……ユウキがあんなに怒ってるの初めて見たけど……」

「学校じゃ顔を合わせる度に喧嘩していたな……ユウキがキレるのはキースくらいだろ」

ユウキの本の持ち主とバリーは、二人の口喧嘩が終わるのをただひたすら黙って待っていた。
バリーには見慣れた光景らしく、全く動じない。

そしてユウキは満足したのか、透明な壁越しに見えるガッシュ達に近付いて行く。

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